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私が初めて井上博文さんに出会ったのは、ブリティッシュ・カウンシルに東京のバレエ界の状況について報告書を書くために、日本へ来たときのことでした。彼は私を家に招いてくれ、私たちは行き投合しました。私はすぐに、彼がバレエと日本舞踊をとても愛していることを理解しました。それに衣裳デザインについても深い認識を持っていました。
1978年と1981年に井上バレエ団公演で輪つぃの作品集を上演しました。この中の二曲を今回再演できますことを、大変うれしく、また光栄に思っています。
「時の踊り」はもともと、イタリアのヴェローナの野外劇場でオペラ「ジョコンダ」のために創作したものです。男性舞踊手が太陽、バレリーナが月を表し、コール・ド・バレエが朝、昼、夕暮れ、夜をそれぞれ表しています。
「バディヌリ」のアイディアは、井上さんと二人、ロンドンでワトーの絵を見ているときに思いついたものです。音楽はバッハがいい、と決まり、衣裳のイメージが消えないうちに、と大急ぎで布地屋さんに走りました。
財団法人井上バレエ団の発展を祈るとともに、偉大なる「マン オブ ザ シアター」の名前を末永くバレエ界に生き続けさせてくださることを願っています。
アルフレッド・ロドリゲス

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親愛なる皆様
このたび、デンマークの振付家、オーギュスト・ブルノンヴィルの二つの作品を皆様にご紹介できますことは、私にとりまして大いなる喜びです。「ウィリアム・テル」のパ・ド・ドゥ及び「ラ・シルフィード」第二幕よりのディヴィルティスマンは、共に19世紀のデンマーク文化の黄金期に生まれました。
1960年に7歳でデンマーク王位バレエ学校に入学して以来、1985年から1994年までの芸術監督としての期間を含めて34年間を、私はコペンハーゲンの王立劇場で過ごしました。ですから、ブルノンヴィルのバレエが、初めて見る人に強い印象を残すものだということをよく知っています。振付は心地よく弾むようで、また非常に明確です。体全体の動きに呼応する上体と頭の動き-エポールマン-は、ブルノンヴィル・スタイルの最も大切な要素の一つです。
井上バレエ団とは、過去12年間にわたってずっとお付き合いをしてきました。1984年の井上バレエ団公演で、私はダンサーとして初めて日本で踊りました。今日も上演する「ウイリアム・テル」のパ・ド・ドゥと「ジェンツァーノの花祭り」でした。その後はカンパニーのクラスでこのオーギュスト・ブルノンヴィルのテクニックを教えました。時間のかかる、大変な仕事ですが、このあたりで一度その成果を披露したいと思います。
バレエという芸術には国境は有りません。今夜のプログラムもまさに国境を越えた交流によるものです。日本で、日本とスウェーデンのダンサーが、デンマーク人の作品をおどります。私は一年前からスウェーデン王位バレエ団の芸術監督をしていますが、今回は二人のすばらしいダンサーや、ヤン-エリック・ヴィクストレムとイェンス・ルーセンをご紹介できますことをうれしく思います。
オーギュスト・ブルノンヴィルと共に素敵なひと時を過ごしてください。
スウェーデン王立バレエ団 芸術監督
フランク・アンダーソン

 

 

 

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